ばいあぐらは新宿ライフクリニック。
【海綿体造影検査とは】
海綿体造影検査(cavernosography)は、、ペニスを膨らませる重要な組織である海綿体に対する画像検査法で、
造影剤を使用し、血管を強調し、撮影を行います。
海綿体造影検査は、ED・勃起不全の精査する上で施行する事の多い方法で、
非常に有意義な精査方法ですが、その一方、勃起関連精査の中で最も侵襲性の高い検査の一つでもあります。
本項では、この海綿体造影検査の目的・施行方法・問題・また今後の展望などについて詳述しております。
【目的】
海綿体造影検査は、検査に必要なデバイスが
陰茎海綿体圧測定
と共通な為、同時に行われる場合が多く、
併せてDICC:dynamic infusion cavernosometry and cavernosographyとも呼ばれます。
海綿体造影検査は、EDの原因検索する上で、
脈管系の異常、つまり動脈や静脈の問題の有無を調べる、非常にすぐれた精査方法です。
特に、勃起の発生にはペニスの静脈閉鎖機能が非常に重要になりますが、
海綿体造影検査は、静脈閉鎖機能異常の発見、ならびに原因部位特定に最も適した精査方法とも言えます。
EDは、上記の脈管系の異常を原因としたもの以外にも、
ストレスや神経障害、ホルモン欠乏など様々な要因が有る、いわゆる多因子疾患です。
EDの原因検索を考えた場合、患者負担を考慮して、低侵襲な精査から開始し、
原因究明を進めていくスタイルをとります。
そのため、海綿体造影検査は侵襲性の高い精査になるので、第一に行う検査では無く、
様々な検査の結果、必要と思われた場合に施行される精査です。
多くの場合は、本検査に至る以前に様々な検査を施行しているため、多くのEDの原因が除外診断されており、
脈管系、特に静脈性EDを疑っている場合に、本検査が考慮されます。
脈管系の障害部位を特定できるため、術前の精密検査としても行われます。
【実際の施行法】
検査に必要なデバイスは、
20~21ゲージの穿刺針、「キャブロポンプ」という潅流用のポンプ、
内圧測定・記録装置が一体となった計測機器、レントゲンもしくはCTなどの放射線撮影装置等です。
まず、ペニスにある左右の陰茎海綿体に注射針を挿入します。
刺した左右の注射針の一方から、ヘパリンを加えた生理食塩水をポンプを用いてペニスに注入して、
もう一方で流出圧を測定します。
そして、生理食塩水を入れているポンプの側から、生理的勃起に必要である90mmHgの流出圧を生み出す速度で、
造影剤をペニスに注入します。
その状態で、レントゲンもしくはCTなどの放射線撮影を施行します。
造影剤によって明瞭に描出された海綿体を画像記録します。
静脈閉鎖異常の精査には、
内陰部静脈などへの造影剤流出の状況、ならびに、その流出部位をしっかりと確認する事が大切になります。
海綿体造影検査は、撮影する上で、陰茎が勃起している事が必須となります。
その理由は、勃起には、勃起時の静脈の閉塞が重要であり、閉塞状態の確認は、勃起時に行う必要がございます。
非勃起状態の撮影では、ED/勃起不全の原因検索ができない事が有ります。
本検査中は、ポンプによるヘパリンを加えた生理食塩水の注入圧により、人工的に勃起状態を作ります。
【海綿体造影検査の問題】
上述するように、海綿体造影検査はとても有意義なEDの検査法では有りますが、
侵襲性が大きい為、容易に検査する事ができません。
検査に伴う「痛み」が、最も高頻度で、かつ患者負担になります。
ペニスに左右二本の針を穿刺し、用意された薬液を、圧力をかけて流入させる、
男性であれば、聞いただけで忌避したい気持ちになる内容とも言えます。
日本性機能学会で発表された報告によれば、一連の検査の中では、針の穿刺時と、
ポンプによる維持潅流状態が、疼痛が最も辛いとされております。
穿刺時の疼痛に関しては、検査の性質上いかんともし難いものが有りますが、
維持潅流時の疼痛に関しては、潅流圧を低下させる事により、疼痛の程度を軽減できるとも報告されております。
潅流圧を低下させることは、検査の精度にも関わる事であり、そのクオリティを下げないレベルでの潅流圧の下限が、
今現在検討されています。
【今後】
現在、このような画像処理は、技術の刷新により革命的な変化を遂げつつ有ります。
海綿体造影検査も例外では無く、システムの進化により、高解像度化、3D化が進んでおります。
このため、海綿体造影検査によって、従来には考えられなかった仮想海綿体内視鏡像を得る事が可能となっております。
それにより、本検査の精度や意義が、さらに高まっております。
仮想海綿体内視鏡検査に関しては別項にて詳述しております、ご参照ください。
⇒仮想海綿体内視鏡検査
残念ながら、疼痛対策に関しては、十年一日のごとく、この精査方法が発明された時から大きく変わっておりません。
今、技術革新によって更に意義を増した海面体造影検査に必要なのは、侵襲性削減なのかも知れません。
written by れびとら処方なら新宿ライフクリニック.